学校づくりの12の課題

 

1.新しい学びを創り出す多様で豊かな学習空間


 D X社会は、単に知識の習得から、課題解決型、探究型の学習へと学校教育の転換を求めています。
 多様な学習形態を生み出す教室、学びに誘う図書館、主体的に活動できる特別教室等、学校空間全体を学びの場とします。

教科メディアスペースでの協働学習(大洗町立南中学校)

2.ICTが可能にする非同期分散の教育環境


 実空間とGIGAスクール環境の統合により個別最適な学びと協働的な学びの充実が課題とされています。
 時間、場所の制約を超え、学びの場を全校、地域社会、世界へと広げ、NextGIGAとして運営・管理を含めた新たな教育空間を実現します。

多様な学習、発表を可能にするICT環境(広島県立広島叡智学園)

3.「チーム学校」の拠点となる教職員スペース


 教職員の働き方改革に対し、執務環境の向上、コミュニケーションやリフレッシュ空間が求められます。

 共用スペースの確保、フリーアドレス方式の活用 、デジタル化、学校支援スタッフとの協働 、相談等、開かれた教職員スペースとします。

 

フリーアドレス方式の明るい教職員室(安平町立早来学園)

 4.ウェルビーイングな学校


 学校は他者との関わりの中で共に学び、生活し、喜びを感じながら心身ともに豊かに成長する場です。
 学び心地、教え心地のよい教育空間の実現と共に、遊び、食事、トイレ、 交流、居場所等、ウェルビーイングな学校環境とします。

カラフルで快適なトイレ(板橋区立板橋第十小学校

5.健康で快適な室内環境


 学校の室内環境は快適で、何よりパンデミックや熱中症等に対し健康で安全でなければなりません。
 快適な温熱環境、健康な空気環境、感染防止対策の実現のため、空調、換気、衛生、音、光環境を、省エネルギーを図りながら実現します。

昇降口ホールの手洗い・消毒コーナー(白河市立白河第二中学校)

6.誰一人取り残さないインクルーシブな学校


 障がい、外国籍、不登校等、多様な子どもたち一人一人の学ぶ権利を保障する施設環境が求められます。
 違いを認め合いながら共に育つインクルーシブな学校づくりを目指し、バリアフリー化、UD、特別支援教育を支える場を用意します。

吹き抜けホールのスロープ(呉市立川尻小学校)

7.SDGsに向けエコスクール、ゼロエネルギースクール


 有限な資源や気候変動に対して、持続可能な社会、SDGsに貢献する学校施設づくりが不可欠です。
 省エネ、再エネ、創エネによりZEB化やLCC抑制を図ると共に、環境の大事さを知り、行動様式を学ぶ教材となる施設を目指します。

周辺環境の向上に寄与する屋上緑化(田園調布学園中等部・高等部)

8.多面的な意義を生かし温かみのある木の学校


 低炭素化や森林の保全等、多面的な意義を生かしながら、温かみのある木の学校づくりが求められます。

 学校規模や地域特性に応じ、木三学を含む木造や木質化の目標を設定し、材の選定や調達、設計を考え、また、産地と都市の連携を図ります。

地域の材と技術を生かした木造ホール(陸前高田市立気仙小学校)

9.一貫教育の学校づくり


 幼小中高の学校種別間をスムーズにつなぎ、一貫教育の場として学校をとらえ直すことが大切です。

 施設一体型の義務教育学校や中高一貫教育校等において、成長の節目を大事にした変化のある教育環境、協働、交流の場を用意します。

小中学生が協働する木工制作(川崎市立はるひ野小学校・中学校)

10.総合的な老朽化対策と長寿命化改修


 DX社会は、単に知識の習得から、課題解決型、探究型の学習へと学校教育の転換を求めています。
 多様な学習形態を生み出す教室、学びに誘う図書館、主体的に活動できる特別教室等、学校空間全体を学びの場とします。

改修による昇降口の風除室化・木質化(矢吹町立矢吹小学校)

11.複合化・共用化によるコミュニティスクール


 建設後40年以上が過半数で、改修を要する学校施設が約7割と、その老朽化対策は待ったなしです。
 学校づくりの課題に応える総合的な長寿命化計画を立案し、時代の変化に柔軟に対応し、維持管理しやすい長寿命な施設を実現します。

学校に複合して設けられた町民ホール(南部町立名川中学校)

12.災害に強く、地域の安全・安心を支える


 地震・風水害・津波等、災害の激甚化に対し、子どもの命を守り、防災拠点となることが必要です。

 発災時に応急避難しやすく、避難生活のQOLを確保したスペースや設備、早期再開できるゾーニング等、教育活動にも生かせるよう計画します。

災害時に多様に活用される「ビッグルーフ(長岡市立東中学校)