教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2012.May 「家具」 から 「学校」をみつめる 長澤 悟Satoru Nagasawa 教室空間の計画史をたどってみよう。明治の初め教室は授業のための神聖な場であった。生徒は授業時間以外には外に出され、居場所として生徒控所が別に設けられた。 今の教室に近づくのは大正時代だ。児童中心主義、体験重視の教育が指向され、教室に学級文庫や展示台が置かれ、子ど...
教育環境研究所 研究誌02 Eye-span2012.May 客員研究員 北 曉 Akira Kita プラス株式会社ファニチャーカンパニー ディー・エル・エム事業部営業部長 1997 年夏のことです。ある高齢者在宅サービスセンターを視察したときに、椅子の肘にペットボトルを上下に切ったものをくくりつけているのを見て、何だろうと疑問に思いました。 施設の方に聞いてみると杖を立て掛けるために取りつけた...
【Case Study】見附市立今町小学校改築基本計画 地域の力で、学校への「想いをかたちに」
教育環境研究所 研究誌02Eye-span2012.May 新潟県見附市立今町小学校 教育環境研究所 長澤 悟Satoru Nagasawa 見附市は新潟県の重心に位置し、「新潟のへそ」を自称する。面積が約78㎢と県内の市では最少で、人口は4 万2千人弱である。 市の西端を占める今町地区には天明年間以来350 年の歴史をもつ今町・中之島大凧合戦がある。毎年6 月に開催されるが、刈谷田川の東岸と西岸...
キーワード「共育の場」としての学校づくり教科センター方式による中学校計町内二つの中学校で一貫した教育理念に基づく学校づくり ○計画の経緯 昭和42年度に建設された旧校舎の老朽化に伴い、開かれた計画プロセスを経て改修が行われました。平成12年から13年にかけて行われた事業計画立案においては、教職員や生徒、PTA、地域の代表者による「基本構想策定検討委員会」で検討が重ねられました。太平洋を見下ろす高台...
キーワード学習、生活の両面から教室を見直す教科と学年のまとまりの両立立地を最大限に生かす施設改良 ○計画の経緯太平洋を一望する高台にあり、「校舎は単なる建物ではなく教育環境の一つ。新しい教育環境をつくりたい」、「学校は地域でつくるもの、幅広く意見を聞きながら進めることを方針としたい」という町の考えを受けて、保護者の代表も加わる場で学校との話し合いを積み重ねました。生徒会を通して生徒の要望も受け止め...
キーワード教科センター方式による中学校計画メディア・スパイラルを中心とする空間構成縦の繋がりを重視した教室配置計画 ○計画の経緯 丸岡南中学校は、旧丸岡町における唯一の中学校であった丸岡中学校の過大規模を解消するために、分離新設校として平成18年4月に開校しました。基本計画(構想)では、学校関係者との意見交換を重ね、保護者や地域、生徒の意見を集め進めました。設計段階では、プロポーザルの設計者の指導...
キーワード建学の精神に基づく一貫性のある教育成長段階に対応した教室まわりの計画 ○計画の経緯 同志社小学校は、京都岩倉の地に2006年4月開校しました。我々は設計段階から竣工に至るまで、学校づくりの議論をリードし、図面等で具体的な提案を行いました。設計・施工期間ともに厳しいスケジュールでしたが、学校設計者と熱のこもった議論を通して完成しました。 昇降口前外観:屋根を持ち、「和風」をイメージした堅調...
【先進事例紹介】 田園調布学園 中学部・高等部 改築基本計画・計画指導
キーワードゆとりを確保したコンパクトな構成コミュニケーション空間の充実都心におけるエコスクールのモデル ○計画の経緯 田園調布学園 中学部・高等部は、大正16年創立の私立女子中高一貫校です。建学の精神「捨我精進」のもと、健全な女子の育成を目的とする知・徳・体の調和した教育活動を進めています。老朽化した校舎の建て替えにあたり、基本計画を当研究所が担当しました。学園の目指す教育目標を理解した上で、教職...
【先進事例紹介】 南部町立名川中学校・町民ホール 基本計画・計画指導
キーワード教科センター方式による学校づくり地域の風土を生かしたエコ・スクール地域に開かれた学校づくり ○計画の経緯旧名川町では3校統合の新中学校を計画するに当り、文部科学省のコミュニティの拠点としての学校施設整備に関するパイロットモデル研究の指定を受け、構想段階から、専門家、学校関係者を含む町民主体の研究推進協議会を立ち上げた。「目指す中学校像」の議論を重ねると同時に、全保護者対象のアンケート、町...
教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2011.August 客員研究員 掛江恵美子 Emiko Kakee プラス株式会社ファニチャーカンパニー アタマの中に溢れるアイデアは、まずは書き出してみる。 書くことによってぼんやりしていたものの輪郭がはっきりし整理されていく、するとまた別のアイデアが次々と浮かんでくる。 どんどん書き込こんでいくと・・・余白が足りない!という経験はありませんか。 ...
教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2011.August 「家具」 から 「学校」をみつめる 長澤 悟Satoru Nagasawa 公共建築物で、出入口で“はきかえ” を行っているのは、今や学校だけだ ろう。児童生徒のはきかえスペースを一般に昇降口と呼ぶが、これも学校だけと言える。 昇降口は一日の始まりに子どもたちを迎え入れる場として、朝日の当たる向きに配置し、明るく天井の高い、気持ち...
【Case Study】長岡市立東中学校 -学習に向かう姿勢を育てる学習環境をつくる
教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2011.August 新潟県長岡市立東中学校 教育環境研究所 廣瀬 和徳Kazunori Hirose 米百俵の精神が今にいきる長岡市。 目指すものを確立し、 次代の飛躍のために労苦を惜しまず人を育てるその志は、 新しい学校づくりのかたちとなって、東中学校にも注がれている。 長岡市は新潟県中部に位置し、県内2番目の人口28 万人を有する中核都市であ...
教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2011.August 教育環境研究所 野島 直樹 Naoki Nojima はじめに 1970 年代から徐々に始まった我が国の学校施設の変革は、廊下に教室を並べるだけだった計画から、教室まわりの充実を一つの目標として始められた。教室を関連づけてユニットを構成し、学年に対応するなど性格づけるとともに、他の要素を組み合わせ多様な教育活動、生活行為に対応を図...
教育環境研究所 研究誌01 Eye-span2011.August 研究誌アイ・スパンの発刊にあたって 長澤 悟 Satoru Nagasawa 教育環境研究所は1988(昭和63)年に創立されました。その時代、教育の変革への気運が学校にも社会全体にも満ちていたように思います。計画についての先生方との話し合いは、反対意見も含め、熱の入った教育論になりました。 背景として、それより少し前の全国的な学...