最新号 Eye-span 06号紹介


    

    研究誌「Eye-span (アイ・スパン)」第6号を刊行いたしました。

   特集では「復興の学校づくり」として、当研究所が計画・設計に携わった北海道安平町立 早来学園(義務教育学校)、

   岩手県陸前高田市立気仙小学校を紹介しております。

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   ◎連絡先 教育環境研究所  Tel:03-6205-8528  Fax:.03-6205-8529

                メールアドレス: info@iee-net.co.jp

 

■目次・特集

復興の学校づくり 地域を元気にする「みんなの学校」

 

〇Case study1

 ・自分が世界と出会う場所-北海道安平町立早来学園(義務教育学校)

〇Case study2 

 ・復興の町のシンボルとなる学校づくり-岩手県陸前高田市立気仙小学校

〇コラム    

 ・「自らを生きる」はやきた子ども園 ・海外リポート  

 ・コミュニティの中心となる学校-オーストラリア サウスメルボルン小学校

〇家具コラム  

  ・”Chairing”が学校空間を居場所に変える

 


 

  

   ■2024年10月に発刊したEye-span 06号の記事の一部をご紹介します。

 

    【Case Study 1 】 最新号 Eye-span06号

自分が“世界”と出会う場所

北海道安平町立早来学園(義務教育学校)

町民主体の新しい学校づくり

 

安平町は新千歳空港から車で20分程。人口7,357人(令和5年度)に対し、面積は約237㎢と広大であり、豊かな自然環境に恵まれる。

 基幹産業は農業で特産物にアサヒメロンやアスパラ等があり、また国内有数の競走馬生産地として知られ、広大な牧場風景が広がる。

 2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震で早来中学校の校舎が被災し、町民センターの会議室を仮教室として授業を再開。その後、早来小学校に面する町有地に仮設校舎を建設し、小学校の体育館と屋外運動場を共用する状態が続いた。

 中学校の早期復旧が急務となる中、町民有志が自主的に集まり、「新しい学校を考える会」を立ち上げ、学校の復興に向けた話し合いを行っていた。2019年2月より基本計画の策定者として参加、考える会と共に新しい学校づくりの目標について議論を始めた。大切にしたのは、災害復旧に止まることなく、未来社会に生きる力を育てる教育を地域ぐるみで実践できる学校、地域の活動を支える学校づくりだった。

 そのような学校のコンセプトを「自分が“世界”と出会う場所 みんなの学校」として定め、老朽化した早来小学校を同時に建て替え、施設一体型小中一貫教育校とする方針が定められた。世界という言葉には、世代を超えた地域の人々や文化、新しい技術や考え等が含まれており、学校を児童生徒に留まらず、 町民や学校を訪れる人々が出会える場所とし、そこでの多様な体験、学びを通して世界に飛び立つという意味が込められている。

 

みんなの学校、みんなの図書館

 

震災による人口減少により地域が衰退する危機の中で、地域コミュニティを活性化する学校づくりを進めるためには、日常的に地域の人々が足を運べる施設づくりが必要だった。そこで老朽化が進んでいた近くの町民センターにあった公民館図書室の機能を移し、新しい学校の中心と位置づけることにした。一般的な学校開放は放課後や休日の体育施設等の団体利用が中心である。これに対して図書館はいつでもだれにでも開かれ、一人でも良い時間を過ごせるという特長がある。早来地区の「みんなの学校」とするには最も有効な手段になる。

地域に開かれた学校図書館をコミュニティの核とし、体育施設や特別教室を町民とシェアすることでさまざまな地域活動を生み出すという考え方が、「みんなの学校」を実現するための基本となった。

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図書スペースがアトリエやキッチンの出入口となる。透明な間仕切りで中が見通せ、互いの様子が見える。