学校建築は、1980年頃から、それまでの量的整備から質的整備に転換し、今日まで大きな変革を遂げてきました。
1984年に発足した多目的スペースの補助制度により、オープンスペースを持つ学校が全国に普及しました。
これを機に文部省は、柔軟な教育空間、豊かな生活の場、地域に開かれた学校づくりの3本柱を掲げた「教育方法の多様化に対応する学校施設のあり方について」を打ち出しました。
以来、現在に至るまで、インテリジェント化、複合化、エコスクール、木材利用などがテーマとなる一方で、耐震や防犯、安全、シックハウス問題などの「守る」ことに関わる課題も大きくなりました。
わたしたちは、こうした課題を敏感に受け止め、施設の考え方を提案してきました。
そしてソフトとハードの両面を踏まえた学校建築を実現してきました。
政策・制度
年度 | 社会情勢/●政策制度/・トピックス | IEEの活動 |
1984 S59 |
●多目的教室(スペース)補助制度発足 ・横浜市立本町小学校(神奈川) |
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1985 S60 |
●「学校施設における木材利用の促進について」 ・目黒区立宮前小学校(東京) |
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1987 S62 |
・臨教審第4次答申にて、生涯学習について提言される |
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1988 S63 |
●「教育方法の多様化に対応する学校施設のありたかについて」 ・公立学校優良施設表彰開始 |
IEE創業 |
1989 H1 |
●「 学習指導要領」全面改訂(学習内容及び授業時数の削減、生活科新設) ・「Eye-span」第1号発刊 |
・「Eye-span」第1号発刊 |
1990 H2 |
●インテリジェント化に関するパイロットモデル研究事業が始まる ・高校においても就学者数が減少に転じる |
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1991 H3 |
●「学校の複合化について」 ・台東区立上野小学校 |
・別府市学校建築基本構想 |
1992 H4 |
地球サミット ●月1回の学校週5日制が導入される ●「ゆとりとうるおいのある木の学校」 ●「小学校、中学校施設整備指針」 |
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1993 H5 |
環境基本法制定 ●全日制で単位制高校が可能となる ●「幼稚園施設整備指針」 ●「余裕教室活用指針」 |
・青ヶ島小中学校校舎改築基本構想 |
1994 H6 |
●ハートビル法制定 ・避難場所と学校機能の両立が大きな課題となる |
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1995 H7 |
阪神淡路大震災 ●高等学校の学科として総合学科が制度化される ●月2回の学校週5日制が導入される |
・山田市立下山田小学校建築基本構想 ・御杖村立御杖小学校建築基本構想 |
1996 H8 |
●「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備について」 |
・佐賀市立学校図書館基本構想 |
1997 H9 |
京都議定書採択 ●学校建物国庫補助基準面積の改訂 ・保健室登校が増加 |
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1998 H10 |
●「幼稚園教育要領」改訂 ●「学習指導要領」全面改訂 ●完全学校週5日制、総合的学習、授業時間弾力化 ・教科センター方式という考え方が確立する |
・「やればできる学校革命」 ・調布学園新築工事設計コンサルタント |
1999 H11 |
●中高一貫教育を選択的に導入することが可能となる ・高知県立中芸高等学校格技場(日本建築学会作品賞) |
・「学校づくりの軌跡~福島県三春町の挑戦」 ・「ディティール140 21世紀の学校建築」 |
2000 |
●コミュニティーの拠点としての学校施設整備に関するパイロット・モデル研究(H14まで3ヵ年) ・福島県三春町における一連の学校計画(日本建築学会業績賞) |
・北浦町立北浦中学校基本構想 ・日立市立駒王中学校校舎改築基本計画 ・大洗町立第一中学校施設改善基本計画 |
2001 H13 |
大阪教育大学附属池田小学校事件 ●環境省設置 ●文部省と科学技術庁を文部科学省に改組 |
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2002 H14 |
●構造改革特区制度創設 ●小学校、中学校設置基準が制定される ●「まち・ひと・思いをつなぐ学校施設 地域に開かれた学校づくりと居住環境整備」(文部科学省・国土交通省・厚生労働省) ●「農村整備と学校づくりの連携身近で質の高い自然空間の保全とか活躍を進める」(文部科学省・農林水産省) ●「学校施設の防犯対策について」 ・PFIによる最初の学校施設が完成する。 ・ゆとり教育の実質的な開始 |
・丸岡町立新中学校建設基本計画 ・名川町立統合中学校基本設計・実施設計監修・家具系計画 |
2003 H15 |
●建築基準法にシックハウス対策が盛り込まれる ●「学校施設耐震化推進指針」 ●「地域に開かれた安全・安心な学校づくりガイドブック」 (文部科学省・警察庁厚生労働省・国土交通省) |
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2004 H16 |
新潟県中越地震 ●学校運営協議会制度が導入される ●「学校施設バリアフリー化推進指針」 ・福島県立郡山養護学校(日本建築学会作品賞) ・OECDの調査結果を受けゆとり教育批判が高まる |
・同志社小学校計画指導 ・川崎市立黒川地区小中学校校舎新築基本構想・計画(はるひ野) ・長岡市立東中学校校舎等改築基本計画 |
2005 H17 |
●「学校エコ改修と環境教育」事業が始まる ●建築基準法施行令の学校天井高(3m)特例が廃止される |
・㈱教育環境研究所設立 ・同志社中学校・高等学校移転統合に関わるキャンパス及び施設整備計画 ・カリタス学園女子中学・高等学校校舎建築に係る家具計画 |
2006 H18 |
教育基本法改正 ●安全・安心な学校づくり交付金創設 ●認定こども園制度発足 ・品川区立日野学園(東京)(全国初の施設:一体型公立小中一貫校) |
・「建築設計資料105学校3」 ・港区立高陵中学校改築計画アドバイザー ・奥州市立水沢小学校エコ改修検討会アドバイザー ・中野区立小中学校校舎のあり方検討委員会 |
2007 H19 |
建築基準法改正 ●特別支援教育が学校教育法に位置づけられる ●「公立学校施設耐震化推進計画について」 ●「あたたかみとうるおいのある木の学校」 ・学校施設の木材利用の加速(東洋大学WASSセンター設立等) |
・南山小学校基本・実施設計計画指導 ・伊達市立保原小学校施設等建設基本計画 ・長岡市立宮内中学校校舎等改築基本構想 ・見附市立今町小学校改築事業基本設計指導 |
2008 H20 |
●「幼稚園教育要領」全面改訂 ●「学習指導要領」全面改訂(授業時数の増加) ・ふじようちえん(東京)(日本建築学会作品賞) |
・高千穂幼稚園改築基本計画 ・新宮市立千穂・丹鶴小学校統合事業基本計画 ・湘南学園小学校改築基本計画 ・明星学園中学校移転改築基本構想 ・川崎市立百合丘小学校改築基本構想 |
2009 H21 |
●「学校施設の評価の在り方について~学校施設の改善のために~」 ●「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の今後の推進方策について-低炭素社会における学校づくりの在り方」 ●「学校施設における事故防止の留意点について」 ●「学校施設における地域ぐるみの防犯対策事例集」 ●スクールニューディール構想 |
・板橋区学校施設あり方検討会事務局運営 ・板橋区改築三校調整会議等事務局運営 ・矢吹町立矢吹中学校改築事業設計監修・指導 |
2010 H22 |
●木材利用促進法制定 ●「新たな学校施設づくりのアイディア集」 ●「これからの幼稚園施設」 ●「これからの小中学校施設」 ●「地震による落下物や転倒物から子どもたちを守るために」 ●「こうやって作る木の学校」 (文部科学省・農林水産省) ●「CASBEE学校-学校施設における総合的な環境性能評価手法-」 ●「すべての学校でエコスクールづくりを目指して」 ●~未来につなごう~「みんなの廃校」プロジェクト ・教科書等デジタル化の動きが本格化 |
・新宮市立蓬菜・王子小学校統合事業基本計画 ・新宮市立統合幼稚園建設事業推進指導 ・川崎市立はるひ野小・中学校校舎増築計画等指導 |
2011 H23 |
3月11日東日本大震災 ●「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備について」 ●「トイレ発!明るく元気な学校づくり!!―学校トイレ改善の取組事例集―」 ●「公立学校施設整備に関する防災対策事業活用事例集」
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・中央国際高等学校基礎調査・設置計画・計画指導 ・豊富町立豊富小学校基本構想 ・富山県立富山中部高等学校計画指導 |
2012 H24 |
●「学校施設の老朽化対策ビジョン(仮称)」の中間とりまとめ ●「これからの高等学校施設」 ●「これからの特別支援学校施設」 ●「学校施設の非構造部材の耐震対策事例集」
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・矢吹町学校防災計画 基本計画 ・聖学院小学校計画指導 ・本郷学園中学校・高等学校計画指導 ・高千穂大学計画指導 ・鴻巣市立吹上小学校計画指導 |
2013 H25 |
●「学校施設の老朽化対策について~学校施設における長寿命化の推進~」 ●「学校施設整備基本構想の在り方について」 ●「学校施設における天井等落下防止対策のための手引」 ●「木造校舎の構造設計標準の在り方について」 |
・板橋区立学校改修基本計画 |