太平洋を一望する高台にあり、「校舎は単なる建物ではなく教育環境の一つ。新しい教育環境をつくりたい」、「学校は地域でつくるもの、幅広く意見を聞きながら進めることを方針としたい」という町の考えを受けて、保護者の代表も加わる場で学校との話し合いを積み重ねました。生徒会を通して生徒の要望も受け止めながら、皆の思いを結実する「参加」の学校づくりを進めました。
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中庭:上履きで出られる憩いの場。 | 校舎全景(校庭側):海に近いため、外壁にはタイルを使用した。 |
■学習、生活の両面から教室を見直す
クラスづくりの場を大事にしながら、主体的な学びに対応できる学習環境づくりが目標とされました。それを実現しやすい施設づくりのために、教科教室の充実、教科の専用教室とオープンスペースを組み合わせる教科センター方式が採用されました。クラスの場所を用意するという課題に対しては、教科教室をホームルームに割り当て、その教室に隣接した位置にクラスの生活スペース=ホームベースを設けています。教室とホームベースの境は3枚引き戸として、両室を一体にも分けることも出来ます。 ホームベースには、個人に割り当てられるロッカーのほか、テーブルやベンチ、生徒たちの手でクラスごとに環境づくりが行われ、一番のお気に入りの場所として生徒に評価されています。
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教科教室:英語教室。音響設備など英語の授業が行ないやすい環境を 用意した。 | 教科メディアスペース:国際メディア。学習メディアが随時使用できる環 境で、創造的な学習指導が行なわれる。 |
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ホームベース:クラス専用スペース。生徒主体の環境づくりが行なえる。 |
■教科と学年のまとまりの両立
教室配置は、国語、英語と社会、数学と理科の系列で教科教室と教科のオープンスペースを組み合わせて教科センターを構成しています。同時に、ホームルームとなる教室+ホームベースは学年のまとまりを持たせた配置とし、教科と学年のまとまりを両立しています。
■立地を最大限に生かす施設改良
移動が前提となる教科センター方式では、動線計画が非常に大切です。校舎棟が中庭を囲む配置とし、一体感と同時に開放感のある構成とし、周囲の景観や中庭の様子を見ながら動くことができます。 食事の環境も見直され、2学年が入る吹き抜けのランチルームを1階に、眺めの良い3階には1学年分のランチルームを設けました。
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図書館:明るく開放的な図書館。魅力的な展示が生徒を本の世界へ 誘う。 | 図書館のテラス:太平洋を望める読書テラス。 |
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[概要]
所在地 :茨城県大洗町
学級数 :7+1学級
基本構想:長澤悟・教育環境研究所
基本計画:長澤悟・教育環境研究所
設計 :三上建築事務所
竣工 :2000年3月