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【先進事例紹介】 坂井市立丸岡南中学校 基本構想・計画指導

キーワード

    • 教科センター方式による中学校計画
    • メディア・スパイラルを中心とする空間構成
    • 縦の繋がりを重視した教室配置計画


○計画の経緯


丸岡南中学校は、旧丸岡町における唯一の中学校であった丸岡中学校の過大規模を解消するために、分離新設校として平成18年4月に開校しました。基本計画(構想)では、学校関係者との意見交換を重ね、保護者や地域、生徒の意見を集め進めました。設計段階では、プロポーザルの設計者の指導を生かしながら学校運用、教育に関わる提案を行いました。

外観1 遠景:低層で水平性の高い校舎の上に、体育館のボリューム

オブジェのように見える。

外観2 近景:校舎前のプロムナードには、用水路による水辺空間が

られた。


 

○学校の特色

■教科センター方式による学校づくり

計画にあたって、初期の段階から運営方式として教科センター方式が検討されました。学校関係者との協議は、母体校である丸岡中学校の教員を中心に行われましたが、丸岡中学校は1,000人を超える大規模校であるにも関わらず、一般教科においても複数学年を受け持つ教員体制が採られていました。これは3年間の授業の流れを踏まえた教科運営と、教科内の連携を図りやすいという利点があります。こうした基盤があるので、教科の特色を発揮しやすい教科センター方式の導入に当初より前向きな意見が多かったが、同時に学級の活動拠点の確保が求められ、ホームベースが必要とされました。

 

理科メディアスペース:吹き抜けのメディアスペース。放課後の個別指導                                                               の様子。 

 


■メディア・スパイラルに基づく空間構成

教科センター方式というテーマを受けて、設計者は本校をプロポーザルまでの中で「メディア・スパイラル」というコンセプトを立てた。これは学年4~5クラスの計画規模に対応し、大勢の生徒の動きを調整するためにメディアスペースを中心とした各教科センターを立体的に展開するというもので、中庭や吹き抜け、多目的ホール等を構成要素に加え、空間が流動的につながった一体感のある校舎が誕生しました。この空間構成は、生徒が動くという教科センター方式の特色をダイナミックに表したと言えます。

図書館:メディア・スパイラルの要の位置にある図書館。吹き抜けで上階とも視覚的に繋がる。

多目的ホール:大階段。


 パティオ:校舎内には光や風を導く4つのパティオ(中庭)がある。
               パティオを介して視覚的に繋がる。
 


■縦の繋がりを重視した教室配置計画

計画段階では、教科も大切だが、学年のまとまりも大切とされ、クラスのホームルーム教室となる教科教室は学年のまとまりが取られるように配置することが目標とされました。しかし、その後の設計段階における学校関係者の議論の中で、学年を超えた上下の関係こそ大切ではないかということに着目し、本校は、教科のまとまりと兼ねた縦3クラスのまとまりが5つある構成を採り、中学校では画期的とも言えるものとなりました。現在は、先輩、後輩が互いに良い影響を与えながら日常生活を過ごしている様子を見ることがでます。

ランチルーム:全学年が集うランチルーム。給食はクックチルド方式を用している。毎日2食用意され、どちらかを選べる。

体育館:間接採光窓を設けた柔らかい光に包まれる体育館。体育下はピロティが駐輪場となっている。
 




[概要]

 

所在地    :福井県坂井市

 

学級数    :15+1学級

 

基本構想:長澤悟・教育環境研究所

 

計画指導:長澤悟

 

設計      :シーラカンスK&H

 

開校      20064