学校建築の変遷とIEE 1994~2003年

学校建築は、1980年頃から、それまでの量的整備から質的整備に転換し、今日まで大きな変革を遂げてきました。
1984年にはじまった多目的スペースの補助制度により、オープンスペースを持つ学校が全国に普及しました。
これを機に、文部省は柔軟な教育空間、豊かな生活の場、地域に開かれた学校づくりの
3本柱を掲げた「教育方法の多様化に対応する学校施設のあり方について」を打ち出しました。

以来、現在に至るまで、ICT環境整備、複合化、エコスクール、木材利用、インクルーシブ、バリアフリーなどが
テーマとなる一方で、防災、防犯、安全などの「守る」ことに関わる課題も大きくなりました。

わたしたちは、こうした課題を受けとめ、施設の考え方を提案してきました。
そしてソフトとハードの両面を踏まえた学校建築を実現してきました。
1984-1993 1994-2003 2004-2013 2014-2023 2024-

年度 [社会情勢] ●政策制度 ・ トピックス IEEの活動  
1994
H6
 
 [
児童の権利に関する条約 批准] 
 ●建設省「ハートビル法」制定・施行 学校は努力義務
 ・高等学校の総合学科が制度化 (普通科、専門学科との3学科制へ)
 ・文部省報告書「多目的スペース用家具の手引き」 多目的スペースの質的充実
 ・文部省報告書「外国語教育のための施設・環境づくり」
 
 「読む・書く」から「聞く・話す」を支える環境整備
 ・文部省報告書「生活科のための施設・環境づくり―豊かな活動を求めて―」
 学校におけるコンピュータ整備の本格化

 
 
1995
H7
 
 [阪神淡路大震災]

 ・避難場所と学校機能の両立
が大きな課題となる
 [Windows95発売]
 ・インターネットの普及により情報化社会が加速
 ●月2回の学校週5日制が導入される
 ●国土交通省「
建築物の耐震改修の促進に関する法律耐震改修促進法)」制定
  →学校など特定建築物に対して耐震診断・改修努力義務
 
 
嘉麻市(旧山田市)立下山田小学校建築基本構想(福岡県)
 御杖村立御杖小学校建築基本構想(奈良県)

 
小学校
24,548校/837万人
中学校
11,274校/457万人
高等学校
5,501校/472万人
1996
H8
  
 ●
文部省
「盲学校、聾学校及び養護学校施設整備指針」策定  
 文部省報告書 「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備について」 
 
 〇佐賀市立学校図書館基本構想(佐賀県)

 
 
1997
H9

 [京都議定書(COP3)採択] 
 ●文部省「学校建物国庫補助基準面積」改訂
  →
学習形態の多様化に対応し面積基準を拡充
 ●文部省「エコスクールパイロット・モデル事業」開始
 ・文部省報告書「複合化及び高層化に伴う学校施設の計画・設計上の配慮について」
 ・日本建築学会
「エコスクールの整備における技術的手法」を提言
 ・保健室登校増加
 ・千葉市立打瀬小学(千葉県)(日本建築学会作品賞)
 
 〇大洗町立南中学校基本構想
(茨城県)
 〇藤村女子中学校トイレリモデルプロジェクト(東京都)

 



 
1998
H10

 文部省「幼稚園教育要領」改訂 「生きる力」の理念明確化
 ●文部省「学習指導要領」全面改訂(小学校、中学校)
   →総合的な学習の時間創設授業時間弾力化
 学校教育法改正「中等教育学校」制度の創設
  →公立
中高一貫教育が可能に
 ●文部省「専修学校専門課程修了者の大学編入学」制度創設
  →専門学校卒業者に大学編入資格付与、高等教育接続の柔軟化
 ・文部省事例集「木の学校選集」
 ・完全学校週5日制
実施決定
 ・教科センター方式という考え方が確立する

 〇調布学園新築工事設計コンサルタント(東京都)
 〇書籍 「やればできる学校革命」刊行

 
 
1999
H11

 ●学校用家具のJIS規格改訂(JIS S 1021) 体格、学習形態・教材の国際基準・多様化に対応
 国土交通省「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」制定
 
文部省「高齢者との連携を進める学校施設の整備について」
 ・文部省報告書「子どもたちの未来を拓く学校施設」
 ・文部省木の学校づくり-その構想からメンテナンスまで-」刊行
 ・高知県立中芸高等学校格技場 (日本建築学会作品賞)
   
 〇書籍 「学校づくりの軌跡~福島県三春町の挑戦」刊行
 〇書籍 「ディティール140 21世紀の学校建築」 

 
 
2000
H12

 ●文部省「学校教育法施行規則」改正 「学校評議員制度」導入
  
→地域主体の学校運営参画
 ●文部省「コミュニティーの拠点としての学校施設整備に関するパイロット・モデル研究」
  →地域交流・多世代利用の学校施設モデル(~H14まで3ヵ年)
 ・福島県三春町における一連の学校計画(日本建築学会業績賞)
 ・PISA(国際的な生徒の学習到達度調査)の開始(OECD)

 〇北浦町立北浦中学校基本構想(茨城県)
 〇日立市立駒王中学校校舎改築基本計画(茨城県)
 〇大洗町立第一中学校施設改善基本計画(茨城県)

 
小学校
24,106校/736万人
中学校
11,209校/410万人
高等学校
5,478校/416万人
2001
H13

 [大阪教育大学附属池田小学校事件]
 ●環境省
設置
 ●文部省と科学技術庁を文部科学省に改組
 ●文部科学省「小学校施設整備指針」改訂
 ●文部科学省「子どもの読書活動の推進に関する法律」制定

 
 
2002
H14

 ●「構造改革特区制度」創設
  →株式会社立・NPO法人立の学校、特別な教育課程が可能に
 ●文部科学省「小学校、中学校設置基準」制定
  →学級編成、
校舎及び運動場の面積などを明文化
 ・「まち・ひと・思いをつなぐ学校施設」刊行(文部科学省・国土交通省・厚生労働省)
 ・「農村整備と学校づくりの連携-身近で質の高い自然空間の保全と活用を進める-」刊行
   (文部科学省・農林水産省)
 ・「地域参加による学校づくりのすすめ」刊行 (文部科学省・国土交通省・厚生労働省)
 ・文部科学省報告書「学校施設の防犯対策について」
 ●
学校週5日制の完全実施
 ・PFIによる最初の学校施設(調布市立調和小学校(東京都)が完成する
 ・ゆとり教育の実質的な開始

 〇丸岡町立新中学校(坂井市立丸岡南中学校)基本計画(福井県)
 〇名川町立統合中学校(南部町立名川中学校)基本設計・実施設計監修・家具系計画(青森県)
 
 
2003
H15

 ●文部科学省「学習指導要領」一部改訂
  →習熟度別指導など個に応じた指導の充実

 ●国土交通省「建築基準法改正」 シックハウス対策が盛り込まれる
 ●文部科学省「学校施設耐震化推進指針」策定
 ・「地域に開かれた安全・安心な学校づくりガイドブック」刊行
   (文部科学省・警察庁・厚生労働省・国土交通省)